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1980年代に採用されたマニアックな日本車の装備3選 Vol.2

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1980年代に採用されたマニアックな日本車の装備3選 Vol.2

今はなき珍装備がオモシロい!

すべては快適なドライブのために

愛車の履歴書──Vol36. 溝端淳平さん(前編)

【Vol.1はこちら】

クルマのインテリアデザインは、時として住宅にもたとえられる。ピュアEVが増えている昨今だと、充電中に時間つぶしができるよう、車内でくつろいでいられるのも重要なテーマだ。ドイツを中心に、各自動車メーカーは取り組みを見せている。

1980年代にも、ドライブ中の快適さをめざして、さまざまなアイディアが生まれた。

突飛なものもあれば、継続的に改良を施していけば”当たり前”の装備になったのでは、と思うものもあって、いま見ても興味がつきない。

1980年代に採用されたマニアックな日本車の装備3選今はなき珍装備に迫る!1980年代に登場したものの、初代のみで消えた車3選マニアックな旧車に迫る!1980年代にヒットした日本の軽自動車3選日本の軽自動車は1980年代から大きく変わった!(1) トヨタ「セルシオ」(初代):デジタルオーディオテープレコーダー(DAT)クルマと切っても切り離せないのが、オーディオだ。いまの音源はスマートフォンのアーカイブで、ちょっと前まではCDプレイヤーをそなえているモデルもあったけれど、ほぼ消滅。私が乗っていたポルシェ「911(993)」にはオプションで6連奏のCDプレイヤーが装備されていて、当時はそれだけで“贅沢”だった。

1989年に日本発売されたトヨタの初代「セルシオ」は、現代の視点から見てもぜいたくのきわみ。当時は心底驚かされたものだ。4.0リッターV型8気筒、制振性をきわめたボディ、電子制御サスペンションといった根幹技術にくわえ、快適装備のオンパレード。

ここでは列記しないが、トヨタは今もオーディオに凝っている(3Dオーディオの装備が待たれる)。初代セルシオは、当時としては注目の7つのスピーカーにくわえ、シート素材による音の反響率を考慮してイコライザーを使っていたとか。まぁ、乗る人の数や体型でも変わってしまうんだけれど、そんなこだわりを聞くのは楽しかった。

凝ったオーディオとして特記したいのが、デジタルオーディオテープレコーダー(DAT)のオプション設定だ。アナログで取り込んだ音源をデジタル変換し、再生はその逆をおこなう。メリットとしてテープが小型化するとともに、音のダイナミックレンジが拡がると言われていた。

セルシオでこのオプションを選択すると、通常のカセットプレイヤーを使うオーディオと“2階建て”ともいえる2DIN規格になり、ダッシュボードのフェイシアがボタンだらけ。当時はこれもまたプレミアム感につながった。

ただ私はほとんど記憶がない。というのは、家にレコードプレイヤーのシステムとつないだDATの録音機材がなかったからだ。プロユースではそれなりに評価されたDATだが、テープが高価だったし、それならいい音のためには直接CDを使えばいい(セルシオではもちろんCD再生可能)と考えていたからだ。大体の人はそうでしょう。

でも、このやりすぎ感がセルシオの真骨頂ともいえる。使う部品ひとつひとつの精度までチェックした“源流主義”で作られたセルシオ。いま乗ってもいいクルマである。電子制御サスペンション搭載車は、アフターパーツ入手などの点から、やめといたほうが賢明とかいうが、DATは、でも、改めて試してみたい。

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2735mmのホイールベースのシャシーは、1987年登場の「セドリック」および「グロリア」(Y31)と共用。ボディ全長も30mm長いだけ。ノーズはやや低めで多少スポーティであったが、Bピラーレスの4ドアハードトップボディや薄いルーフ、それにロングノーズとロングデッキのプロポーションは共通。

バブル景気のムードみたいなものがあったのだろう。私自身は“シーマ現象”がフシギでならなかった。でも当時、イケイケムードだった日産プロダクトのファンとして、実際に選ぶ立場にいたら、セドリックではなくどうせだったら、シーマにしただろうか……そういうものかもしれない。

シーマは、ハンズフリー通話機能など、ドライバーズカーとして買われることが多かったように思うけれど、後席乗員を意識した装備も多かった。リヤシートヒーター(左側のみ)や角度調節式後席背もたれ、後席用ヘッドフォン、という具合。さらに「モイスチャーコントロール(加湿器)」のオプションも用意されていた。

家庭用の加湿器によく似ていて、取り外し式のタンクに水を入れる。前席のセンターコンソール後端にセットされる強制加湿タイプだ。のどを大事にする歌手からのニーズはあったかもしれないが、雨の日の運転でわかるように、車内はそもそも湿度が高め。むしろまめにメインテナンスしていないと雑菌がわきそう。

着想はユニークだけれど、2代目では廃止されてしまったのもよく理解できる装備である。

(3)ホンダ「バラードスポーツCR-X」(初代):ルーフベンチレーションホンダが1983年に発売した昭代「バラードスポーツCR-X」は、コンパクトな(ほぼ)2シーターで、魅力的なスタイリングだった。ホイールベースは2200mmしかなく、ボディ全長は3675mmと、思い切りがよい。

クーペボディに、テールが直角に裁ち落とされたような、いわゆるコーダトロンかスタイルが採用されていたのも斬新だ。当時は、アルファロメオの「ジュニアZ」(1969年登場)みたいだなあと、クルマファンとしては感心したものだ。

ザガートがボディ設計を担当したジュニアZは、風が室内に入ってこなくて、オーナーは往生していたと記憶している。CR-Xを担当したホンダのエンジニアがそんな事情を勘案したのかどうかさだかではないけれど、ベンチレーションシステムがユニークだった。

1.5では「アウタースライド・サンルーフ」か「ルーフベンチレーション」を選ぶようになっていた。発売当時、「ノーマルルーフ」設定車は1.3のみ。これもユニークだった。サンルーフは、ルーフ内に格納されるのでなく、外にスライドしていくタイプ。ルーフベンチレーションは、ルーフ後端にポップアップ式の四角い空気取り入れ口が設けてある。

「乗用車世界初、オーバーヘッドスタイルのルーフ・ラム圧ベンチレーションで、飛行機のように天井からフレッシュなエアが降りそそぎます。風量の2段切り換えと風向の調節により、快適な自然換気が可能です」

上記は当時のホンダが用意していたプレス資料によるもの。文中のラム圧とは、走行中に前からくる空気による風圧。CR-Xのルーフベンチレーションは、走行中により多くの空気を車内に採り入れる機構で、インサイドミラーのすぐ後ろにの天井に、円形の空気吹き出し口があり、風量は2段階で調節可能だった。

ルーフに空気取り入れ口を設けるというアイディアを広めたのは、イタリアのスポーツカーブランド、アバルト。高速で長い距離をえんえん走るレコードブレーカーを手がけてきたアバルトは、1960年のモデルに潜望鏡型のルーフベンチレーションを採用。スポーツカーにも拡大した。CR-Xのようなルーフベンチレーションは、1990年代のラリーマシンの多くも採用していた。

ギリギリのところで効果はあるものの、エアコンがあれば量産車では不要。心意気はおもしろい。でも、じっさいに自分で選ぶなら頭上に青空が拡がるのがわかるスライディングルーフのほうを私なら選ぶ。

文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)

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みんなのコメント

4件
  • evo********
    バラードスポーツCRX。この車名を聞くと初めて中古車店に行った時の事を今でも思い出す。ミラーの調整レバーが懐かしい。4ドアのバラードも乗ったな。これも全部が柔らかかった。
  • けいのじ
    な日本車の装備3選だけを紹介してくれればいいものを、余計な情報をよくもまぁダラダラと。
    編集のイナガキ、ちょっとは読み手のこと考えろ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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